「二酸化炭素→ギ酸生成において触媒変換効率を126倍向上させる分子を発見」論文が優秀論文に選定
人工光合成研究センターの天尾 豊 教授らのグループが発表した研究成果がこのほど、学術論文誌Chemistry Lettersの優秀論文(Editor's Choice)に選定され、下記のとおり掲載されました。本研究は、二酸化炭素からギ酸を作る際に、ジクワットと呼ばれる人工補酵素を用いることで、天然の補酵素を用いた場合と比べ約126倍も活性を向上させることに成功したという内容です。
【掲載日時】
2016年8月5日(金) 日本時間 午前6時http://www.journal.csj.jp/topic/editors-choice
?http://dx.doi.org/10.1246/cl.160389
※本論文はAdvance Publicationとして2016年6月11日に同誌ウェブサイトに先行掲載されております。
研究概要
太陽光エネルギーを利用し二酸化炭素を有機分子に変換する人工光合成系を創製するための重要な要素技術の一つとして、有効な触媒の開発があげられます。
本研究では、二酸化炭素をギ酸(燃料、化成品、エネルギー貯蔵媒体)に変換する反応を促進させる触媒であるギ酸脱水素酵素の活性を、単純な化学構造を持つ人工補酵素を用いることにより飛躍的に向上させることができました。
ギ酸脱水素酵素を使って二酸化炭素からギ酸を作るためには補酵素と呼ばれる分子が必要です。これまでにメチルビオローゲンと呼ばれる人工補酵素を用い、ギ酸脱水素酵素により二酸化炭素からギ酸を作ったところ、天然の補酵素を用いた場合よりも約20倍以上、活性を向上させることに成功しております。今回は、メチルビオローゲンと同様に単純な化学構造を持つ人工補酵素 ジクワットを用いることにより、天然の補酵素を用いた場合より126倍もの活性向上に成功しました。
今回の発見は、今後の二酸化炭素を有機分子に変換する人工光合成系実現のための触媒設計?開発に大きく寄与すると考えられます。