新たな人工補酵素による二酸化炭素のギ酸への光還元の効率化に成功
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この研究発表は下記のメディアで紹介されました。
◆8/3 化学工業日報
? 人工光合成研究センターの天尾 豊 教授、複合先端研究機構の池山秀作特任助教はビオローゲンの化学構造にアミノ基(-NH2)を2つ導入した新たな人工補酵素を用い、二酸化炭素のギ酸への光還元反応の効率化に成功しました。本研究についての記者発表が、平成29年8月1日(火)に人工光合成研究センターにて行われました。
研究の概要
太陽光エネルギーを利用し二酸化炭素を有機分子に変換する人工光合成系を創製するための重要な要素技術の一つとして、有効な触媒の開発があげられます。本研究グループではこれまでに二酸化炭素をギ酸(燃料、化成品、エネルギー貯蔵媒体)に変換する反応を促進させる触媒であるギ酸脱水素酵素の活性を、ビオローゲンの化学構造にアミノ基(-NH2)を2つ導入した新たな分子(図中DAV)を合成し、人工補酵素として用いることにより、これまでの最高値である天然の補酵素を用いた場合より560倍もの活性向上に成功しています。
今回、この人工補酵素を色素分子(水溶性ポルフィリン)とギ酸脱水素酵素とで構成される二酸化炭素をギ酸に変換する光レドックス系に利用した結果、1時間の可視光照射により従来用いられていた人工補酵素メチルビオローゲンよりもギ酸生成速度が2倍まで向上し、これまで報告されている結果の中で最高値を達成しました。
今回の発見は、今後の二酸化炭素を有機分子に変換する人工光合成系実現のための触媒設計?開発に大きく寄与すると考えられ、現在はさらなるギ酸生成効率向上を目指し、反応条件などを検討しています。
論文掲載について
本研究の成果は、英国の化学会誌に掲載されました。
【掲載日時】2017年7月25日(火)※現地時間
【発表雑誌】Sustainable Energy & Fuels
【論文名】Novel electron carrier molecule based on viologen derivative for visible light-driven CO2 reduction to formic acid with the system of zinc porphyrin and formate dehydrogenase
【著者】Shusaku Ikeyama, Yutaka Amao
【掲載URL】http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2017/se/c7se00255f