プラズマプロセス技術と多機能OCTを応用した再生医療等製品の品質向上と支援機器の開発
研究成果の概要
プラズマプロセス技術を応用した再生医療等製品の品質向上の一環として「プラズマ技術を用いた骨再生」の研究を重点的に推進した.当初計画されていた多機能 OCT を応用した研究については,担当研究者と OCT 装置の他機関への転出により推進に支障をきたしたため,主としてプラズマを利用した新規再生医療技術に関する研究を推進するという計画変更を余儀なくされた.以下に得られた研究成果の概要を示す.①医学研究科整形外科の豊田宏光講師と共同で行った動物実験にて,ニュージーランド白色家兎を全身麻酔下に使用し,尺骨骨幹部に 1 cm の骨欠損を作製し,骨欠損部への低温大気圧プラズマの照射の有無によって照射群と非照射群を作製し骨癒合について評価を行った.新生骨量の増加は全てのプラズマの照射条件下で確認された.特定の照射条件ではコントロールに比べて平均 60%を超えるような新生骨量の増加が確認できた.現在,「低温大気圧プラズマを用いた骨癒合ならびに骨再生の促進」の知財化を進めている.②骨再生スキャフォールドの親水化を簡便で高速に実現するプラズマジェット照射方式を開発した.単純なプラズマジェット照射では,照射面近傍だけしか親水化されないが,今回開発した方式は,多孔体の内部全体を親水化することが可能である.また,従来の NaOH 浸漬方式が数時間を要するのに対し,本手法は数分で親水化が可能である.この成果は,「多孔質体の改質方法および改質装置」として特許出願した(特願 2019-155512,研究業績 33).③プラズマ処理後の再生組織を予後診断する際の支援システムとして,分光反射率推定を用いた画像中の対象物質の抽出と 3 次元計測システムの開発を行った.
第三者評価
評価1
当初の研究代表者が異動で、実験装置とともに、所属専攻を去ったため、研究が「所期の計画どおり」にならないのはやむを得ないが、新しい研究代表者による骨再生という新規テーマに関する「所期の計画」に対しては、短い時間で十分に高い成果を上げた。特に、低温プラズマの物理的研究から骨再生に関する動物実験まで、幅広い研究を精力的に行い、優れた成果を得たことは高く評価される。今後、知財を確保したので、本研究の成果が、学術誌等を通して、世界に広く公開されることが期待される。
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